第3回「ダイナミックな文様の面格子について」

 メンバーが「パズル型」と呼んでいるタイプの面格子があります。これらは前回までに述べた「基本形への装飾付加型」ではなく、最初から全体をデザインされたものと思われます。

 私の経験では、以下の印象を持っています。
   (1) サイズ的には、大き目のものが多い
   (2) 雰囲気の近いものはあるが、基本的には一品物ではないか
   (3) 比較的大き目の家の大き目の窓についてることが多い
   (4) 面格子としての本来機能である防御性は高い

 これまた外見からの勝手な推測ですが、これらの面格子は、工務店が見繕ってつけときました、ではなく、そこに住まわれる方が意図を持って発注しているのだと思ってます。

 私はこのような「パズル型」の面格子に、中流階層の持つ微妙な劣等感と優越感を感じます。比較的大きなお宅で見かける「パズル型」ですが、本当の豪邸であれば道に面したところに窓があったりはしません。あくまで比較的大きな家の大きめの窓についてます。

 道に面したところに大き目の窓があるので、通常よりも防御性の高い面格子を、と工務店に相談すると、通常のものではなくこのような「パズル型」を勧められるのかもしれません。費用がどの程度違うのか分かりませんが、家一件新築する中では大きな違いではないのかもしれません。そういう意味では、他にはない一品物の立派な面格子というのは、道に面した良く見える場所に設置することもあり、満足感の得られるささやかな贅沢ではないかと思われます。

 これまた勝手な妄想ですが、近所に立派な家があるところでは、敷地の広さや建物自体の豪華さでは勝ち目がないが、せめて何か一つ、ということでこのような面格子を頼まれるのかなんて思ったりもします。「うだつ」のある家は建てられないが、面格子で勝負という感じでしょうか。それとも、近所の豪邸に向けて、位負けはしないぞという心意気を示す「鍾馗様」の代わりなのでしょうか。妄想はどこまでも勝手に膨らみます。

 実は「パズル型」は、一般民家というより商売屋さんで見かけることが多く、それはそれで楽しみです。

 次回からは、面格子の楽しみ、愛で方 について書いていくことにします。

過去記事 第1回「面格子とは何か」
過去記事 第2回「面格子の装飾付加についての一考察」
今回終了 第3回「ダイナミックな文様の面格子について」
次回予告 第4回「面格子の楽しみ お散歩編」