二つの珈琲

 珈琲そのものを楽しむために行く喫茶店があります。その中で特徴的な2つについてまとめてみました。失礼ながら、以下文中はすべて敬称略としています。

 一つは、京都の「KAFE工船」で、もうひとつは、大阪日本橋 美味卯で月一カフェを開く「nu*cafe」です。

 「KAFE工船」は、オオヤコーヒーの焙煎所と喫茶店を兼ねた形になっています。昔ながらの自家焙煎のお店ということになります。焙煎前にできの悪いまめを取り除くなど、いい意味で昔ながらのやり方をされてます。
 珈琲の淹れ方も、基本はネルドリップです。使うお湯も沸騰したて(ほぼ100℃)ではなく、少し冷ましたものを使われます。おそらく、珈琲豆の中には、嫌な味の元となる成分も含まれているので、いかにしてこの嫌味を出さないかという、そういう工夫だと理解してます。逆に、カフェオレを作る際には、ペーパードリップです。ネルドリップだと味がぼけてしまうからだそうです。
 このお店では、珈琲の淹れ加減を「こってり」か「あっさり」かオーダーすることができます。私は「あっさり」でいただくのが好きです。薄い珈琲を意味するはずなのですが、飲んでみると、まろやかな中にもしっかり味が感じられるところが気に入ってます。
 ちなみに、家でペーパードリップする場合でも、フィルターを2毎重ねにすると違いますよ、とのこと。

 これに対して「nu*cafe」は、最近良く聞く「スペシャリティ珈琲」に分類されると思います。「良い豆を使えば、豆の持つ味をすべて出してもおいしい」というのが、ポイントではないかと思います。
 ustreamに「おいしい珈琲講座」という映像を登録されてますが、これを見ると「nu*cafe」の珈琲に対するスタンスが良く分かります。(豆さえ良いものであれば)沸騰したての熱湯で淹れてもかまわない、との主張が伝わってきます。
 私が「nu*cafe」の珈琲をはじめて飲んだのは、ある屋外イベントでのことです。そこでフレンチプレスで淹れた珈琲をいただいて、強い衝撃を受けたのを覚えています。その時にも「フレンチプレスで淹れると豆の本来の味が(雑味も含めて)出る」とお聞きしました。

 「雑味は珈琲の敵」なのか「雑味も含めて珈琲の味」なのか、両者の主張は出だしの一歩から方向が違うようにも思えます。しかし、「自分の考える珈琲」に対してひたむきに進む姿勢は共通するものを感じます。