神戸へ、旧生糸検査所

 旧生糸検査所へ行ってきました。当日は、神戸ガーデンカフェも開催されており、結構な人出だったのですが、私のお目当ては「「まちかどの近代建築写真展2010in神戸(今回のテーマは日本各地の赤煉瓦建築)」と「神戸生糸検査所」上映会です。

 旧生糸検査所は昨年3月まで現役で使われていた国の施設です。昭和のはじめに建てられたということですが、驚くべきほど保存状況がよく建設当時のものがそのまま残っている部分が多くあります。上映後の座談会でも話されていましたが、やはり国の施設というのが大きいと思われます。
 ひとつは、つくりが贅沢という事です。昨今税金の無駄遣いに関してはとやかく言われていますが、当時も財政状況は苦しい中、必要以上にお金をかけて作られているので、今日まで立派に残っているのだと思われます。二つ目としては、作ったはいいものの改修するお金は十分では無いため、あまり手を入れずにそのまま使い続けているのかなと推測します。

 今回の上映会は、単なる上映だけでなく、座談会や館内見学、周辺見学とセットになっています。先日のガスビルでの「第一回建設映画祭」でも感じましたが、「現場で観る」ことの意義をとても強く感じました。

 今回いくつか感じたことがあります。

 一つ目は、「保存」か「活用」か、です。座談会に出席されてた中尾さん(港まち神戸を愛する会)が話されていたのですが、国としてはこの施設は一般競争入札で売却を考えていたそうです。それに対して、声高に「保存」を訴えるのではなく、施設(建物)の歴史や魅力を活かしながら「活用」するところに譲るのが妥当ではないでしょうか? と、提案型の活動をされたとの事。
 実は、中尾さんとはいくつかのイベント(近代建築ツアー)でお見かけしたことがあって、顔とお名前だけは存じてたのですが、こんなに素晴らしい方とは知りませんでした。ごめんなさい。でも、やはり少し話が長いと思います。

 二つ目は、「デジタル」か「アナログ」か、です。これは座談会で垣本先生が話されていました。今回の撮影のために、設備を実際に動かそうとされたそうです。昔ながらの機械式の設備は、油をさすなど手入れをすれば、また動くようになったとの事。使い方に関しても機構のすべてが見えているので、知らなくても順を追って考えれば分かるそうです。
 これに対して、コンピュータの入った機械は、動かないものは簡単には修理できません。また仕組みの主要部分が「ブラックボックス」となっているため、後で第三者が見て推測することも困難との事。日常的に分かっているはずのことですが、改めて考えさせられました。






※flickr にも写真を置いてます