月と蟹(道尾秀介/文藝春秋)

月と蟹

月と蟹

 新しい学校になじめない転校生の慎一。同じ転校生の春也と、捉まえたヤドカリで遊んでいるうちに、お願い事をすると現実の事となってしまう。

 全編通じて、微妙な緊張感の漂う不思議な読後感です。小学生通しの会話が中心ですが、爽やかさはなく、やや湿った重い雰囲気が続きます。だからといって決して不快ではなく、そこが楽しみになるのは、すごいなと素直に感動です。