新之介さんの「大阪高低差本」出版記念講演会を聞いて(その2)

(その1)より続く

 新之介さんの講演を聞くのは今回で三回目になる。一番最初は、2015年1月の高岡先生との対談だった。
 
 サロン文化大学のランドスケープサミット3 高低差とビルの秘密を探るお話
   日程:2015/1/17(土) 17:30?19:30
   主催:サロン文化大学 共催:enoco
   参加費:1,000円(大阪高低差学会のオリジナル缶バッチ付き)
 当初募集定員30名だったのが希望者多数で50名にまで拡張された。
 
 「ランドスケープサミット3」とあるのは、建築家の高岡先生がいろんな分野のマニアと街の景観について語るというシリーズだったから。いうなれば、高岡先生の異種格闘技シリーズで、新之介さんはホームで迎え撃つ形となる。しかし、高岡先生は講演の経験豊富で、そのお話はいつ聞いても面白い(私は高岡先生ファンです、為念)
 この講演会でも「ビルは高低差を測るメジャーである」をはじめ、耳新しくて楽しいネタの連発だった。それに対し新之介さんは「河内湾?の時代」から、淡々と始める。新之介さんがクリアすべき聴衆はまず自分自身なのだろう。そこが納得できない限り、前に進まないのかもしれない。
 終わったあと、新之介さんは「ギャグの一つも挟もうと思ったんだけど」みたいなことを話されてた。十分に聞き応えのあるお話だったけど、さらなる高地を目指すということなのだろう。
 
 二回目に聴いた講演は、先にも書いた 2015年10月の立命館大阪梅田キャンパス公開講座だ。定員130名が事前申込で満員となった。この公開講座シリーズは人気で固定ファンもいるようだが、それでも満員に達する早さが異常だったと聞く。
 梅田に立命館のキャンパスがあるとは知らなかったが、行ってみると立派な階段教室だった。平日の昼一番ということもあって、受講生の平均年齢は高い。きっと、大阪にも歴史にも詳しい人が多いのだろう。この環境でギャグを飛ばすのは難易度高そうである。
 登場した新之介さんは少し緊張しているようだ。しかし、「河内湾?の時代」から話をはじめ、難波の地について語り、古墳が南北から微妙に傾いて並ぶ理由を説明する。そして、埋没谷、空堀真田丸と語りながら、地形を巡り歩くことの楽しさを伝えていく。ギャグなど挟まなくても十分聴講生を引き込んでいた。
 
  新之介さんは、真面目だ。おまけに ひつこい。
 
 新之介さんは、その鋭い嗅覚で何かを見つけると、しばらくそれに喰いつく。実は、その昔 アースダイバーについて語りだしたときも同じように見ていた。高低差学会を立ち上げたのを見ても、まだ同じように感じていた。単にまた新しい対象を見つけたのだなと。私の感覚がいかに鈍いか、今から思えばつくづく嫌になる。
 
 今年の三月に、春のFWが行われた。その最後に、新之介さんから「高低差本を出します」と発表された。慎重な新之介さんが公表するのだから間違いない、いよいよだなと感じた。
 実際に出版された本を見て、その出来栄えに感動すら覚えた。本の内容に一つだけ注文をつけるとすれば、「なぜ、枚方、守口がないんだ!」。わずかに枚方の写真が一枚載されてるだけだ。
 勝手な推測だが、新之介さんは 本当に納得できないと書けないのだと思う。枚方も守口も、歩いたことはあるはずだが、自分のものとして落ちるまでには時間が足りなかったのかもしれない。
 さらに勝手なことを書けば、昨年11月のFWが予定通り開催されていれば、枚方も12の中に入ったかもしれない。なんて「たら、れば」を思うのも、歴史の楽しみか。
 
 さて、今回の出版記念講演会について(ようやく)
 
 東京スリバチの皆川会長との対談という形になった。たまたま皆川さんが、大阪に来られるタイミングだったとのこと。皆川さんも講演の経験は豊富だ、おまけにサービス精神豊富で、どんな話をするのか楽しみだ。
 なんと先行は皆川さんだという。ガンダムネタといういきなりの飛び道具連発で、場を盛り上げる。これに対して新之介さんは、「河内湾?の時代」から話を始める

 新之介さんは真面目だ、それにしてもひつこい

 途中、皆川さんから問いが投げかけられ、新之介さんが答えに窮する場面が何度かあった。勝手な推測だが、新之介さん自身も気になってた点ではないかと思う。ある程度は調べてるはずなので、適当な回答もできるはずだけど、完全に納得してないことを口にはできないのだと思う。その結果どうなったかというと最前列にいた大西さんに無茶振りされた。以降も無茶振りの連発である。

 新之介さんは真面目だ、だけどひつこい

 終わった後に場内を見てみると、見たような顔が集まってる。大阪メンバーがこれほど集まるのも久しぶりかもしれない。やはりこれも、新之介さんの人徳なのだろう。これまであまりFWには参加してないメンバーもいたけど、また拡がってけばいいと思う。
 
 できれば、今後も真面目にひつこく活動を続けて、続編の執筆もお願いしたいし、そこに、枚方、守口が入るといいなと思ってる。