鳩の撃退法(上下)(佐藤正午/小学館)

鳩の撃退法 上

鳩の撃退法 上

鳩の撃退法 下

鳩の撃退法 下

(上下巻通じての感想です)
 久しぶりの長編小説、さんざん待たせておいてふたを開けたら主人公はなんと津田伸一。前作同様最初からいらいらさせる展開だが、今回はなぜか途中で投げ出したくはならない。少し人を馬鹿にしたような会話が妙にテンポ良く心地いいからだと思う。読み手の注意をある方向に向けておいて、それとは少し違うところに落とす、この繰り返し。
 偶然デビュー作を読んでしまってから30年以上、この作者の作品が気になって仕方がない。