手の中の天秤(桂望実/PHP研究所)

手の中の天秤

手の中の天秤

 執行猶予中の加害者の反省状況を被害者もしくは遺族が判断して場合によっては刑務所に入れることができる制度ができたとの想定の物語。かって担当官として被害者側に状況を伝えた大学講師が過去事例を語る形で進行する。過去の罪を反省すると言うのはどういうことなのか、他人を許すことはどうすれば可能なのか、答えの無い事例が繰り返される。
 当時の主人公にはいい加減な男にしか見えなかった先輩担当官のキャラクタ設定が素晴らしく、重いテーマだが読む進むことができる。