夏目家順路(朝倉かすみ/文藝春秋)

夏目家順路

夏目家順路

 死んだ老人の葬儀に際して、親戚や生前関わりのあった人々がそれぞれの観点で故人をまた自分を振り返る。これが見事なくらい食い違うというか、故人が本当はどんな人だったのかとても気になってしまう。
 人が死ぬという厳かな事実をきっかけとして、認識の違いが明らかになり、申し訳ないがおかしさも感じてしまう。このおかしさと悲しさの度合いが絶妙と思う。