エアーズ家の没落(上・下)(サラ・ウォーターズ/東京創元社)

エアーズ家の没落上 (創元推理文庫)

エアーズ家の没落上 (創元推理文庫)

 第二次大戦後、かっての豪族が領主館に留まり貧窮した生活を送る。没落の歴史を描くのではなく、没落後が舞台。著者は、過去の作品でも舞台設定にあわせた雰囲気を醸し出すのがとてもうまいと感じたが、今回も同様で特殊な世界を作り上げている。登場人物は多くないが、その中で「領主館」がまるで主役かのように存在感を示している。
 気楽に読み流すのは無理で、それなりに心して読まないと、楽しめない作品。