「はん蔵」の改良に思うこと

三菱鉛筆 印鑑ホルダー はん蔵 紺 HLD502.40

三菱鉛筆 印鑑ホルダー はん蔵 紺 HLD502.40

 仕事で検印を押す機会が多いので「はん蔵」(朱肉を自動的に付けてくれる印鑑ケース)を昔から使っています。朱肉の部分は消耗品で、ある程度使ったら交換する必要があります。あるときこの交換用朱肉を買いに文房具屋さんに行ったら品切れで、「はん蔵」本体もありませんでした。そこでしかたなく類似品を買ったのですが、使い勝手があまりよくなく困っていました。
 そんな時、文房具屋さんに行くと「はん蔵」が置いてあります。どうもリニューアルしたようなのですが、交換式の朱肉部品の互換性がありません。少し腹立たしく思ったのですが、それでも新しい「はん蔵」を買って帰りました。

 この「互換性」がないということについて思うことがあります。その昔私は、キヤノンの一眼レフを使っていました。まだ世の中にMFのカメラしかなかった頃の話です。その後、AFが実用化されたときに、キヤノンはレンズのマウントを変更してしまったので、新しいカメラでは以前のレンズは使えなくなってしまったのです。
 規格を変える際に互換性を維持しないということは、以前のものを捨てるしかない状態に追い込むことを意味しています。少なくとも、過去と決別し切り捨てるというメーカーの意思表示だと思います。
 この決断が功を奏したのか、その後キヤノンはカメラ業界で大きくシェアを伸ばすことになります。しかし、切り捨てられた側の私はこの「恨み」は未だに忘れていません。それ以降はキヤノンの商品は、カメラに限らず一切買わないことにしました。

 さて、今回の新しい「はん蔵」ですが、先日朱肉部品の交換を行いました。なんと、劇的に交換しやすくなっていました。以前はピンを抜いて交換してまたピンを刺すという面倒な手続きが必要でしたが、新しいのは溝に沿ってスライドさせるだけで交換できます。互換性を捨ててまで改良した意図は良く理解できました。
 でも私は、AF移行時にマウントを変更しなかった(上位互換を保った)ニコンペンタックスがやっぱり好きです。