サラの鍵(タチアナ・ド ロネ/新潮社)

サラの鍵 (新潮クレスト・ブックス)

サラの鍵 (新潮クレスト・ブックス)

 ドイツ占領下のパリでユダヤ人の一斉検挙が行われ、そのほとんどが生きれは帰れなかった。フランスの暗部として誰も触れないこの事実に、60年後アメリカ人女性ジャーナリストがあえて取り組む。
 検挙される際に自宅の隠し部屋に弟を残してきた少女は、なんとか脱出して弟を助けようとする。60年前のお話と現代が交互に語られるうちに、2つの物語が交差する。

 題材自体が非常に暗いが、その中に確かな救いがあり、読む進むことができる。登場人物が多いことや長いことも気にならない、読み応えのある小説。