じっと手を見る(窪美澄/幻冬舎)

じっと手を見る

じっと手を見る

 じっと手を見るのは工場労働者ではなく介護士というのが現代風ではあるが、基本は恋愛小説。だけど、この作者の恋愛観はかなり複雑。
 地方の介護施設で働く若い二人の前に、東京の中年男や訳ありの女性が現れ関係を乱す。地元を離れたいのか残りたいのか、同じ相手との関係を続けたいのか、様々な思いが交錯する。章ごとに視点が変わり、とらえどころなくさまよう感じもなんかいい。