千の扉(柴崎友香/中央公論新社)

千の扉 (単行本)

千の扉 (単行本)

 巨大団地に住む夫の祖父がけがで入院したため、代わりにそこに住むことになった中年夫婦。妻の千歳は、大阪で同じような団地に住んでいたという。入院中の祖父は、義理の孫である千歳に、団地に住むある人物を探してくれと頼む。
 登場人物の過去のエピソードが挿入されたり、不思議な少女が登場したりと、著者としては珍しくお話が展開するが、全体に漂う雰囲気が味わえるのはいつも通り。