乗りかかった船(瀧羽麻子/光文社)

乗りかかった船

乗りかかった船

 中堅造船会社が舞台の連作短編。船が設計したくて院卒で入社したにも関わらず営業に配属されさらに人事に異動した若手社員、男性ばかりの現場で溶接工として働く若い女性、「人事」をテーマに思い通りにならない会社生活を描く。どの短編もそのテーマで長編が書けそうなバックグラウンドを持っていて贅沢な気がするが、逆に全体として捉えどころがない気もする。