茄子の輝き(滝口悠生/新潮社)

茄子の輝き

茄子の輝き

 過去の妻とのお思い出に浸ったり、職場の若い女性がかわいいと入れあげたり、転職した後に前の職場の近くを散歩しながら過去のかけらを探したりと、文章に書くと身もふたもないくらい情けない男にまつわる連作短編。収録順に読むと実際の時間の流れを前後するが、それが何か漂う感じにつながってる。その時その時のどこにもたどり着かない想いが感じられ、一篇ごとに時間かけて読み直したくなる。
 それにしても餃子が食べたくなって困る。