蜃気楼の犬(呉勝浩/講談社)

蜃気楼の犬

蜃気楼の犬

 「現場の番場」と呼ばれるベテラン刑事の番場、殺人現場を見ると独自の嗅覚で手がかりを見つけ、事件を解決に導く。どちらかというと気持ちの悪い事件が続く短編集だが、面白く読める。主人公がこれまでの警察小説での優秀な刑事像とは少し違い、身重の年下の妻を思い、後輩刑事を思いやる人間らしい温かみと弱さを感じるから。