太宰治の辞書(北村薫/新潮社)

太宰治の辞書

太宰治の辞書

 なんと久しぶりの「円紫さん」シリーズ。表紙が高野文子というのはそのままだが、女子大生だった「私」は結婚して中学生の息子がいるという。編集者として出版社に勤務する「私」が出会う文学上の謎をめぐる短編3作。
 元のシリーズ作よりはミステリ性は低いかもしれないが、読み物としてはとても雰囲気を感じる一冊。著者は太宰が大好きで、デビュー作の主人公を女性にしたのかとふと思う。