桜の下で待っている(彩瀬まる/実業之日本社)

桜の下で待っている

桜の下で待っている

 出だしの一行が素敵な文章だと、それだけでこの本を読んでよかったと思えてくる。例えそれが作者の思う壺であっても。
 
 花にまつわる5つの短編は、「故郷」「帰る」というキーワードで繋がってるように思う。登場人物は、本当に大事なことは口にはしない、けれど前後の文章で、その気持ちが伝わってくるよう。

 読み終わってみて、素敵な文章は最初だけではなかったことに気づく。