カノン(中原清一郎/河出書房新社)

カノン

カノン

 海馬移植が可能になったという近未来設定。徐々に記憶がなくなる奇病に冒された30代女性が、息子のことを思い、末期がんの50代男性との海馬移植を決断する。手術は成功したが、海馬には記憶が蓄積されてるため、30代女性の体に入った50代男性は、日常生活すべてに戸惑うことになる。個人とは何なのか、心とは何なのか、思わず考えてしまう。
 手術までの段取りや術後の対応など具体的で、ひょっとしたらすでに現実なのかと勘違いしそう。