草のつるぎ (野呂邦暢小説集成 3)(野呂邦暢/文遊社)

 作者の小説を読んでどこに惹かれるのか良く分からないが、文章自体のリズムやそれを通して自然と脳内に広がる光景の生き生きとしているところがなんとも素晴らしい。表題作は、自衛隊に入った新人たちの日頃の暮らしぶりを描いている。別に事件があるわけでもないのに、ずっと読んでいたいと思わせる。