海うそ(梨木香歩/岩波書店)

海うそ

海うそ

 とても良いです。家守綺譚を読んだ時と同じように、ひき込まれてしまいました。
昭和のはじめに、南九州のとある島に調査に来た人文地理学者。自然そのものにだけでなく、そこに暮らす人々、そこに至る歴史、そしてその歴史を今に伝える地名や遺跡という有形無形の痕跡。平家落人伝説、廃仏毀釈など、日本人の中にある歴史観をうまく利用しながら独自の世界を作っている。
 登場する島に住む人々が、また魅力的。