神様のケーキを頬ばるまで(彩瀬まる/光文社)

神様のケーキを頬ばるまで

神様のケーキを頬ばるまで

 雑居ビルに関係する人々を順に描いていく連作短編。社会に出れば思い通りにならないことの方が多く、嫌なことでも避けられないこともある。必ずしもうまくいっていない人たちが、ふと手をとめて自分自身を見つめ直す。
 がんばればなんとかなるという無責任さでもなく、弱者を哀れむのでもない、ただありのままを見つめる作者の視線が優しい。