その手をにぎりたい(柚木麻子/小学館)

その手をにぎりたい

その手をにぎりたい

 上司にが東京の思い出にと銀座の高級鮨店に連れて行かれた会社を辞め地元に帰る青子。そのお鮨の美味しさに感動し、東京に残り働くことにする。時代は80年代バブル絶頂期に向けて突っ走る日本。青子は、鮨屋に通うための高級を求めて不動産業界に転職する。
 作者の食べ物に関しての描写は、意地汚いほど率直で実に見事。若い作者は実際には知らないはずのバブルな感じも楽しめる。
 読む度に柚木麻子は天才じゃないかと思う。