路(ルウ)(吉田修一/文藝春秋)

路

 台湾新幹線の着工が決まってから開通するまでの7年間を、日本と台湾の4人のお話でつなぐ。時間の流れの通りにお話は進むが、一見ばらばらなお話が並行して進むためか、進んでるのか戻ってるのか分からない少し不思議な感じ。何か大きな事件があるわけでもなく、極めて平坦な展開が続くが、この長い話を飽きもせず読ませるのは、お話全体に漂う 暖かさ・やさしさ・前向きさ があるからかもしれない。また、一人で生きてるようでも、皆どこかでつながり支えあってる感じがほのかに伝わってくるのもいい。
 何がどう面白いのかうまく伝えられないが、読み進むにつれ、なんだか楽しくなってくるお話。