雲をつかむ話(多和田葉子/講談社)

雲をつかむ話

雲をつかむ話

 読み出して一瞬エッセイかと思った。語り手の頭の中に浮かぶ事柄が、次から次へとふわふわと数珠繋ぎされるように語られる。このふわふわ感が最後までお話の中に漂い続ける。
 だからといって、荒唐無稽というのではなく、ちょっと奇妙な読中感が味わえる。お話と分かっていても、どこか現実のような気がしてくるから不思議。