春から夏、やがて冬(歌野晶午/文藝春秋)

春から夏、やがて冬

春から夏、やがて冬

 万引きをした女とスーパーの保安責任者、こんな出会いで物語りは始まる。本の帯には「ラスト5ページで世界が反転する!」とあるが、その手の本ではないと思う。
 あっとおどろくトリックに騙される快感を楽しむのではなく、全体に流れる雰囲気と、徐々に壊れていく感じを味わいたい。