漂砂のうたう(木内昇/集英社)

漂砂のうたう

漂砂のうたう

 明治維新後に時代に乗り遅れた不器用な人々のお話。なぜにそんなに遠回りをするのか、思うままに生きられないのか、読んでいて切なくなる。生簀の金魚に与えられた自由に意味はあるのか、プライドのある人生とはどういうものか、しみじみ考えてしまう。昔「茗荷谷の猫」を読んだときにはさほど強い印象を持たなかったが、今回はやられた。