下町ロケット(池井戸潤/小学館)

下町ロケット

下町ロケット

 元ロケット技術者で、家業の町工場を継いだ主人公が、夢を追いかけながらも、経営者として悩みぬく。中小企業であっても自分たちの技術にプライドを持ち、ロケットを飛ばすんだという熱い思いを持った男たちを描きつつも、特許訴訟、資金繰りといったいまどきの経営課題を含む経済小説としても成り立っている。

 作者は元銀行員で、その経験を活かした作品が多いように思うが、銀行員とは思えぬ(失礼!)熱い男たちを描くのがとてもうまい。