野川(長野まゆみ/河出書房新社)

野川

野川

 事業に失敗し意に沿わぬ仕事に就く父、転校先で自分を隠しひねくれて生きようとする息子、新聞部で出会う飛べない通信鳩、どちらかというと不幸なことばかりなのに、妙に幸せな気分の読後感。久しぶりの長野まゆみは、期待以上。
 素直じゃない中学男子に妙に感情移入してしまう中年男(私)ですが、作品が素晴らしいからだと思う。