本日は、お日柄もよく(原田マハ/徳間書店)

本日は、お日柄もよく

本日は、お日柄もよく

 幼馴染の披露宴で聞いたスピーチがきっかけで、スピーチライタへと転進していく主人公。オバマの大統領選でのスピーチ戦略や、日本政界での与野党間の綱引きなど、現実世界のことも挙げながら「スピーチ」という世界での戦いが繰り広げられている。作家という「言葉を操る職業」の人が、「言葉の操り方」を題材にした小説を書くとはなんと大胆なことか。よほどの自信がないとできない所業だと思います。

 とはいえ、難しい話とは関係なく楽しいお話になっているのが素敵です。ややディフォルメされた登場人物たちが、一気に疾走する感じで読み出したらやめられません。作者のこれまでの作品とは少し印象が違いますが、文句なしに面白いです。

 作中で紹介されている「スピーチの基本」、実際に披露宴のスピーチで使うにはかなり勇気がいりそうです。