チョコレートの町(飛鳥井千砂/双葉社)

チョコレートの町

チョコレートの町

 地元が嫌で大学進学を機に東京に出てそのまま就職もした主人公が、とある事情で、出身地の支店に一時的に勤務することになる。実家から通勤する毎日の中で、中学や高校時代の仲間とも再会することになる。

 この町には大手企業のチョコレート工場があり、毎日甘い香りが町を覆う。この甘い香りこそが停滞した地元そのものと感じられる。家族や知人・友人をみて、地元のどこが嫌だったのかが改めて思い出させられるが、逆になぜ東京なのかも疑問に思い出し始める。

 地元に留まる人も、都会へ出た人も、都会から来た人も、それぞれの想いが共有でき、妙な共感を覚えるいいお話。