ヴェネツィア便り(北村薫/新潮社)

ヴェネツィア便り

ヴェネツィア便り

 60歳前後になってふと過去を振り返るような短編が集められている。いろんなタイプのお話があり、ホラーっぽいのも混じってるし、文学に関する広範囲な知識があればより楽しめるものもある。
 「高み」という短編では、定年前のベテラン編集者が小学校の同級生のことを思い出すが、実に暖かく爽やかで著者らしい雰囲気に満ちてる。