私の消滅(中村文則/文藝春秋)

私の消滅

私の消滅

 精神科医が患者を愛してしまう、と書いてしまえばそれまでだけど、この作者が素直に書くはずもない。一人称の主が次々と入れ替わりながら、断片的に物語が語られ、話の幹をつかむまでに時間がかかる。
 面白く読んだのだけど、未消化でうまく書けない。