霧 ウラル(桜木紫乃/小学館)

霧 ウラル

霧 ウラル

 地元の実力者の娘でありながら、中学を卒業すると家を出て芸者になった珠生。ヤクザ者に惹かれ書体を持ち、実家からは縁切り同然となるはずが、姉の嫁ぎ先が国会議員選挙に打って出ることにより、状況が変わってくる。
 お話自体はありふれてる気もするが、道東を舞台に日陰の世界を描く、その空気感が何となく伝わってくるところが凄い。たぶんこの著者は、題材が何であれ、自分の世界に取り込んでしまいそう。