雪の鉄樹(遠田潤子/光文社)

雪の鉄樹

雪の鉄樹

 代々女癖が悪く「たらしの家」よ呼ばれる庭師の三代目。両親と死別し祖母と暮らす少年の面倒を見ながらまじめに働く。出だしから説明なく不思議な設定の中に飛び込む感じがとてもスリリングで、読み進むにつれ、過去のいきさつが分かってくると、さらに緊張感が高まる。どこか壊れた人間ばかり出てくるが、壊れなくてはいけなかった理由も感じる。