神秘(白石一文/毎日新聞社)

神秘

神秘

 次期社長とされながらもすい臓癌で余命一年といわれ退職した出版社役員の菊池。その昔、一度だけ電話を受けた「不思議な力を持つ女性」を探すために神戸に移り住む。彼の前に起こる出来事は、できすぎた偶然なのか運命どおりの必然なのか。癌にまつわる様々な解釈を交えながら、なんとも不思議なお話。
 余談だが、私は主人公と同世代(実は著者も同じ)で、回想シーンで出てくる事柄がことごとく懐かしく、余計に感情移入してしまった。