冬虫夏草(梨木香歩/新潮社)

冬虫夏草

冬虫夏草

「家守綺譚」の続編ときいて、期待して読む。主人公綿貫が家を離れ、鈴鹿の山中に愛犬ゴローを探しに行くとは、前作とは少し様相が違う。ただ、積極的に動き回ってるはずなのに、主人公の周りに流れる時間はとても静かで、どこにも向かっていないよう。
 人間も、一見人間のようだが人間でないものも、皆静かに佇んでいる。