舞台(西加奈子/講談社)

舞台

舞台

 自意識過剰の青年がカッコつけ過ぎずにニューヨーク一人旅をしようとカッコつける。ガイドブックは丸暗記し、地元民の振りして街を歩くが、初日にカバンを盗まれてしまい窮地に陥る。いたってばかばかしい設定だが自分の中にもある恥ずかしい部分と重なってしまい笑えない。笑うどころか泣きたくなってくる。
 それでも最後にはなんか救われた気がするのは、作者の人間に対する暖かな視点のおかげ。