棕櫚の葉を風にそよがせよ(野呂邦暢/文遊社)

 全く知らない作家だったが、新聞書評でみて気になり読んでみた。様々なタイプのお話が収められた作品集だが、簡潔で文章が美しく読んでいて心地よい。おそらく、登場人物や舞台設定となっている土地に対する愛情がにじみ出ているのと、昔に書かれたとは思えない少し乾いた現代的文体のせいだと思う。