ことり(小川洋子/朝日新聞出版)

ことり

ことり

 幼稚園の鳥小屋をボランティアで掃除して「小鳥の小父さん」と呼ばれてる男がいる。兄はなぜか人間の言葉を話さず「小鳥の言葉」を話す。そして弟だけがそれを理解できる。町の片隅でひっそりと、でも確かに生きる二人。世間一般の常識とは少し違うが、ささやかな幸せ。月日が流れ、弟が「小鳥の小父さん」と呼ばれるまでの物語。妙に切なく、でもやさしい。