美しき一日の終わり(有吉玉青/講談社)

美しき一日の終わり

美しき一日の終わり

 年老いた姉と弟が、取り壊しの決まったかって棲んでいた家で久しぶりに会い、一日を過ごす。弟は父が母以外の女性との間の子で、8歳でこの家に引き取られてきた。振り返られる子供時代からのことと現在とが絡み合いお話は進む。
 お話の中に流れる時代の感覚が何とも言えずやや古風でとても情緒がある。切なく決して幸福なお話ではないのに、とてもいい余韻が感じられ、本を閉じた後も続く。