末裔(絲山秋子/講談社)

末裔

末裔

 ある日家に帰ると玄関のドアになぜか鍵穴がなく家に入れない。一人暮らしなのに誰に締め出されるというのか。不思議なでだしで始まる、オヤジの放浪譚。なぜ、家族は離れていったのか、父親や叔父は豊かな生活をしていたのに、なぜ自分はそうできないのか。あれこれ考えながらさまよう物語。
 いつもながら少し変わった雰囲気の作品だが、読むこと自体が楽しくなる。