悪と仮面のルール(中村文則/講談社)

悪と仮面のルール (100周年書き下ろし)

悪と仮面のルール (100周年書き下ろし)

 「邪」の血を引く少年が、少女への愛を持ちながら「邪」として生きていく。あらすじを書いたりジャンル分けするのが難しいというか、無意味かと思えるような小説。

 全編を漂う不思議感は、決して読み味のいいものではなく、どちらかというと不気味な緊張感としてお話を推し進める。それでも読むのを止められないのは、主人公が「邪」というには、少し人間らしすぎるからかと思う。