永い言い訳(西川美和/文藝春秋)

永い言い訳

永い言い訳

 人気作家の津村は、売れないころから支えてくれた妻を突然の事故で亡くす。そこで初めて、妻を愛していなかったことと、妻のことを何も知らなかったことに気づく。一緒に旅行に行き事故に巻き込まれた妻の友人の夫は、対照的に愛する人を失った悲しみに明け暮れる。
 いつもながら、登場人物の心の中の「ゆれ」を描き、恐ろしいほど人間を暴くように書き上げる。読んでいてどっぷりと入り込むと疲れるが、読み終えて心地いい。